Tuesday, January 22, 2013

死期が迫ったことを悟っていた


“…前途に困難な日々が待っています。
 でも、もうどうでもよいのです。
 私は山の頂上に登ってきたのだから。”(キング牧師)
 (Martin Luther King's Last Speech: "I Have Been To The Mountaintop"  )

  1月の第3月曜は、全米でキング牧師を讃える祝日だが、冒頭の言は「ア~イ・ハヴぁ・ドゥリーム!」でお馴染みキング牧師が暗殺される前夜に行った演説の一節である。スマナサーラ長老の法話やキューブラー・ロス博士のレポートをまとめた著書でも指摘されているように、年齢に関係なく、死ぬ前になると、自らの死期が迫ったことを悟っていたかのような振舞いを見せた人の例は少なくない。キング牧師もまた、その一人のようだ。

 凶弾に倒れる前日、すでに、この世に人として生まれてきた目的、すなわち己の使命を自覚し、それを果たした安堵を、この一節は顕わしているのだろう。不当な苦しみを受け続ける人々を助けるため、やるだけのことをやったなら、後は生前に為した善い行いの善い報いを受け、死後は天の高みからのんびり見守るだけ。一方、キング牧師の偉業を妬み、卑劣な妨害を続け、自殺強要までした、コインテルプロとよばれる権力犯罪者の連中が、死後どんなおぞましい報いを受けるかも、もちろん見えていたことだろう。ここまでの境地に達したゆえの「もうどうでもよい」なのではなかろうか